地球温暖化防止を目指し、風車の導入が進むスコットランドで新たな記録が誕生した。10月2日、風力発電の生み出した電力が同国の全エネルギー消費の206%に達したのだ。
スコットランドはすでに1月から6月の統計で風力発電の電力が家庭の電力の124%を賄うまでに成長している。9月の統計を見ると全電力消費の63%までに達し、この日はなんと家庭、事業者、工場が消費する電力の2倍を生み出し、家庭の電力に換算して全世帯数の3倍となる700万世帯分の電気を生み出した。
スコットランドだけでなく北大西洋に面した地域は偏西風のおかげで風力発電のメッカとなっている。スタンフォード大学の研究者たちによって発表された研究によれば、大西洋のど真ん中にインドほどの洋上風力の団地をつくれば、世界の電力がすべてまかなえるのだという。
通常、海上に吹く風は陸上に吹く風の1.7倍のスピードがある。また、洋上風力の場合は、海の熱から生まれる上昇気流によって風車同士の干渉によるエネルギーロスも補完される。そのため、1㎡あたりの発電の上限が1.5ワットの陸上風車に対し、洋上となるとその4倍の6ワットの発電が可能になる。
風車の設置が可能な遠浅の海は限られる。本格的に洋上の風力を手にするためには、海底が深くても設置が可能な浮体式の風車が必要となる。
今回の研究結果によれば北太平洋にインドほどの大きさで風力発電を手がければ世界の電力のほぼすべてをまかなえる。だがそのためには、関係各国の理解と莫大な投資が必要になることは言うまでもない。
地球は有限だ。いずれ地球から掘り出すエネルギーは枯渇する。だが、地球外から降り注ぐエネルギーは無尽蔵だ。いつの日にかそれによって暮らして行く日が来る。現在ある課題を解決し、いかに持続可能なエネルギーを手にするか。様々な選択肢を検討していくべきだろう。
<参照リンク>
Wind energy provided 206% of Scotland’s entire electricity needs
The entire world could be powered by a deep-sea
wind farm, scientists find
Geophysical
potential for wind energy over the open oceans
翻訳・文 / ライツフォーグリーン
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