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報告:パーソナルソング 高齢者に音楽を届けよう!

2018年11月18日(日)、ドキュメンタリー映画「パーソナルソング」上映・意見交換会が開催されました。

場所は、昨年開館された東京都国分寺市にある都立多摩図書館セミナールームです。

*この記事は地域医療ジャーナルからの転載です。

 

 

映画「パーソナル・ソング」

ソーシャルワーカーのダン・コーエンはiPodを使い、認知症の人に思い入れのある曲をきかせれば曲の記憶とともに当時の自分や家族のことなど何かを思い出すのではないか、ということを思いつきます。

音楽によって失われた自分を取り戻す。音楽が心を呼び覚ます…自分の名前すら忘れていた人が曲を聴いた途端、劇的な反応をみせます。

若い頃好きだったこと、嬉しかったこと、鮮明な記憶を取り戻します。

ダン・コーエンの音楽療法は当初3か所で開始され、本作撮影途中にショートムービーをインターネットにアップすると、1週間で700万回も再生され、このプロジェクトが全米での注目を集めることに。現在では7か国650か所以上で行われています。

国内事例報告

上岡 裕さん

栃木県で地域ESD(持続可能な開発のための教育)拠点を手がけるNPO法人 エコロジーオンライン理事長。インターネット事業を核に環境省、林野庁、ソニー株式会社、東京都などと、数多くの協働事業を手がけています。

エコロジーオンラインでは「CONTENTS for CARE」という活動を通して認知症ケアにも取り組まれています。その中で見えてきた問題として、コストを誰が負担するのか、介護保険活用施設の現場の仕事量の多さ、エビデンスの取得の難しさ、iPod、iTunesの活用の難しさ、音楽ビジネスの変容(会員制サービスへ)を挙げています。

解決策は、NPOとしてボランティアを稼働する、認知症の治療から高齢者のQOLを向上する、高齢者向けの音楽サービスの企画・開発とお話しされていました。


浅野 佳子さん

介護福祉士、音楽療法士。国分寺市にあるクリニックでの訪問診療に同行し、歌唱や演奏活動されています。

患者との関わりのなかで、音楽の好みは多様で、音楽により感動すること、回想すること、苦しみが和らぐことなど音楽療法の可能性を実感されています。


意見交換会

テーマは、この場所で、この仲間と、この時間を共有して「してみたくなったこと・してほしいこと・実現するためには」。

参加者は7つのグループになり、発表の時間まで様々なお話をされていました。

会場で発表された主な意見をあげてみます。

【してみたくなったこと】

音楽の効果を身近な人に伝え広めていく。

親や家族、身近な人とパーソナルソングについて話してみる

パーソナルソングをリストアップする。

映画の紹介や図書館で借りられるように問い合わせをする。


【してほしいこと】

技術の進化により多くの音楽を届けることができるが対象が高齢者なので、言語や方法などわかりやすく配慮する必要がある。

集団(デイサービス)と個別(ヘッドフォン)での効果を実証できると良い。

聴覚だけでなく、他の感覚器へのケアもあると良い。

【実現するためには】

今日のことをひとりひとりが発信していく。

コミュニティ、仲間づくりが不可欠である。

音楽、文化を手がかりに地域をつなぐ。

音楽を活用する。

できることから始める。身近な人を思いやる。パーソナルソングを選ぶ。パーソン・センタード・ケアの実践。

豊かな心が人と自分自身も救う、と実感しました。良き機会を与えてくださり、ありがとうございました。(Makiko Sato)

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