最近聞かれるようになったカーボンプライシングとはなんでしょう。
いま世界を騒がせている気候変動は二酸化炭素の排出による地球温暖化が原因だと言われていますが、その二酸化炭素の排出量に値段をつけるということです。
炭素税はカーボンプライシングの最初の試みのひとつで、フィンランドで1990年に導入され、その後、スウェーデン、デンマークとEU諸国に広まっていきました。
日本でも企業の二酸化炭素排出量1トン当たり289円の「地球温暖化対策税」が導入され現在では年間2500億程の税収があります。
そこで困るのは企業です。生産活動をするにあたって二酸化炭素の排出は不可欠のものであり、地球温暖化による気候変動が深刻になる前はいくら大気中に排出しようと企業側にデメリットは無かったものが突然課税対象になってしまったからです。
企業にとっては排出することにデメリットがあり、削減することにあまりメリットがありません。そこで考案された試みが排出権取引です。
この制度自体は1990年代から主にアメリカで考えられていたもので、2005年の京都議定書の発効によって本格的に導入されました。
排出権取引とは企業ごとに排出枠を分配し、企業側はその枠内に排出量を抑えなければ罰則を科されるという仕組みです。これだけ聞くと先ほどの炭素税と同じように聞こえますが大きく違うことは、削減に尽力した企業は余った排出枠を超過してしまった企業に売却できるということです。
削減を怠った企業は無駄に出費がかさむはめになり、逆に排出を削減できた企業は排出枠を売却し、利益を得ることができるようになり、なかば強制的にすべての企業が排出量の削減に尽力しなければならなくなるという仕組みになっています。ちなみに、この削減に尽力した企業の排出量を購入して埋め合わせ(オフセット)することをカーボン・オフセットと呼びます。
目には見えない二酸化炭素を数値化することで目標を分かりやすく設定できるということですね。
ところが近年、炭素税が安い国の企業に商品を生産させ、輸入することで炭素税を回避しようとする企業が出てきました。これでは国内で削減にきちんと尽力している企業が損を見るばかりです。
そこで新たに「国境炭素調整措置」というものが検討されています。これは国家間の輸出入にあらたに炭素への関税をかけるというものです。税金は誰からも疎まれがちですが、格差を均すことも税金の役割です。平等に徴収することが税金のあるべき姿なのかもしれません。
日本でも菅義偉首相が2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにするという発表を昨年発表しました。京都議定書を発効した国として脱炭素社会への旗振り役を日本が務められるように願いたいものですね。
文・イラスト / エコロジーオンライン編集室
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