ワオキツネザル / Ring-tailed lemur
今回取り上げるのは、エコロジーオンラインのキャラクターとしても活躍してくれている「ワオキツネザル」です。
ワオキツネザルは、マダガスカル島南部にのみ生息するマダガスカルの固有種です。
マダガスカルでは、現地の言葉で「maki」と呼ばれ親しまれており、マダガスカル共和国を代表・象徴する国獣に指定されています。
ワオキツネザルは、映画『マダガスカル』に出てくるキャラクター「キング・ジュリアン」のモデルにもなっています。キング・ジュリアンは、主役のスピンオフ作品が作られるほど人気のキャラクターです。
0:30から出てくるのが、キング・ジュリアンです。
ワオキツネザルってどんな動物?
果物や葉っぱ、木の実、たまに昆虫やトカゲなども食べます。
体長は約39〜46センチメートル。尾の長さは約56〜62センチメートル。
体よりも尾の方がかなり長いです。尾はその名前の由来にもなっている、特徴的な黒い輪っか模様をしています。
漢字で書くと、「輪尾」キツネザルですね。
木の上では、この長い尻尾を使ってバランスを取って移動します。また、群れで移動する時には、誰も道に迷わないように、旗のように尾を高く上げて歩きます。
「黒い輪っかは13〜15本あるらしい!」
体重はだいたい2〜3キログラム。チワワやポメラニアンなどの超小型犬ほどの軽さですね。
鳴き声はこんな感じ。
そんなワオキツネザルの学名は「Lemur catta」。
Lemurは「幽霊・亡霊」の意味。cattaは「猫」という意味です。
「ワオキツネザルを初めてみた人には、顔の黒い模様が幽霊や骸骨のように見えたという話があるみたい」
飛び蹴りのバトル!激しいメス同士の争い
ワオキツネザルは、オスよりもメスの方が優位な立場にあります。
どちらも戦いはしますが、戦い方がそれぞれ違うようです。
まず、縄張り争いをするのはメスです。
メスは、フィジカル(体)で戦います。
子どもを背中に乗せながら飛び蹴りをして戦うこともあり、その激しさから「ジャンプファイティング」と呼ばれているそう。
バチバチです。
匂いで勝負!オスによる「悪臭の戦い」
一方オスは、主に匂いで戦います。
オスは、手首と脇の下、尻尾の付け根あたりに独特の匂いを出す分泌腺を持っています。
手首などにこすり付けた尻尾を、他のオスに向けて振ることで相手を挑発をします。
この戦いは「stink fight(悪臭の戦い)」と呼ばれており、実際に体で戦うのではなく、自分の匂いを振りまくことで相手を追い払います。長い時は1時間ほど続くこともあるそうです。
体で戦うことももちろんありますが、無駄な戦いを避けることで怪我をすることも少なくなるので、なかなか賢い方法なのではないでしょうか。
また、匂いをつけた尻尾を揺らしてメスにアピールしたり、匂いを木にこすり付けることで自分の縄張りを主張したりもします。
ワオキツネザルは嗅覚が優れているため、挑発や戦い、アピール、マーキングなど、匂いを使って様々なことができます。
「1:24〜 匂いを付けた尻尾を揺らしているね」
ワオキツネザルには欠かせない日光浴!
ワオキツネザルといえば、日光浴とそのポーズも有名ですね。
ワオキツネザルの体のつくりは原始的で、体温を調節する機能が発達していないため、体温を上げる必要があります。そのため、手足を広げて全身で太陽の光を浴びるのです。
少しおかしくもあり、可愛いこの姿は、まるでヨガの達人のようでもありますね。
ちなみに、動物園なんかでは暖房器具に向かってこのポーズをするそう。
とても気持ちよさそうですが、わざわざ仲間の前に座って日に当たっているところがちょっと気になりますね。
また、ワオキツネザルの多くは人間に慣れています。
子どもとのこんな可愛らしい動画も有名ですね。
熱帯雨林の破壊や農業による森林開発など、生息地が奪われ続けるワオキツネザル。ペット用に捕まえられることもあり、生息数も減少してきています。
マダガスカルで絶滅の危機にあるのはワオキツネザルだけではありません。
2020年7月に、IUCN(国際自然保護連合)が発表した絶滅危惧種のレッドリストによると、マダガスカルに生息する107種類のキツネザルの仲間のうちの103種、実に96%ものキツネザルが絶滅危惧種に指定されてしまいました。
現地では、ワオキツネザルを含め、マダガスカルの宝である生き物たちをこれ以上減らさないよう、数多くの保護活動が進められています。
ユニークな魅力を持ち、マダガスカルのみならず世界中から愛されているワオキツネザル。
ワオキツネザル、そしてワオキツネザルが暮らすマダガスカルの環境を守るためにも、エコロジーオンラインはマダガスカル支援を継続していきます。
コピー・イラスト / kawe
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