中国が60年ぶりの熱波に襲われている。
南西部を中心に多くの都市が40℃を突破。干ばつも同時に発生し、河川の水位が低下して水力発電量が減少。エアコンの需要によって電力供給がひっ迫し、四川省では省内の工場に対し、6日間の操業停止を命じている。
四川省は半導体や太陽光発電の世界的な供給地であり、各国の経済への影響が懸念されている。
こうした中国の異常な熱波に関してエアロゾル粒子のマスキング効果が失われたことが原因の一つではないかという声がSNSで話題になっている。
To be clear. The masking effect is significant. Analysis of Covid lockdown data from #China which shows an increase in radiative forcing due to drop off in pollution. We R probably witnessing that again currently. It’s becoming a regional warming feedback https://t.co/47lADM7DXq
— Peter Dynes (@PGDynes) August 22, 2022
地球温暖化を防止するためには火力発電を停止することが前提になる。
その際にCO2だけでなく、太陽光を反射したり、雲の生成に影響を与えるエアロゾル粒子も減少する。きれいな空気を手にするということではとても良いことなのだが、エアロゾル粒子が減少することによって短期的に気温の上昇が加速してしまう。
ワシントン大学の研究者たちが中心になって発表した論文によれば、この効果の影響で今すぐにCO2の排出を止めたとしても2030年からの10年で気温上昇が1.5℃を超える可能性が42%になり、2029年までに止めた場合は66%の確立で1.5℃に達してしまう。
中国は新型コロナによるロックダウンで大気汚染状況が改善され、地表に到達する太陽のエネルギーが増したことが知られている。現在も事実上のロックダウンが続いており、その影響もあって記録的な高温が続いているのではないかと疑われているのだ。
なんとも皮肉なことだが対策が進めば進むほど気温の上昇に加速度がつく。しっかりと腰を据えて気候変動対策に取り組みたい。
Aerosols from burning fossil fuels are masking
global warming, UW researchers find
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部