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生き物の宝庫マダガスカルと個性を極めし「カメレオン」

マダガスカル共和国という国を知っていますか?

マダガスカルと言えば、映画「マダガスカル」が有名ですが、「まだ助かる」というフレーズが浮かんでくる方もいるかもしれませんね。

 

マダガスカル島は、日本の約1.6倍の面積をもつ、世界で4番目に大きな島です。

世界最大のバニラの生産国でもあり、日本のバニラの総輸入量の約90%がマダガスカル産です。マダガスカルのバニラを食べたことがある方も多いのではないでしょうか。

驚くことに、マダガスカルで見られる全動植物種の80%以上が固有種(マダガスカルにしか棲んでいない動物)です。

 

なぜマダガスカルには固有種がこんなにも多いのでしょうか?

その答えは、マダガスカル島の誕生に深く関係しています。

マダガスカル島ってどんなところ?

マダガスカル島は、8800万年前に他の大陸から分離してできた島です。

この分離した時から、島に生息する動植物は他から独立した環境で過ごすこととなり、彼らは独自の進化を遂げていきます。

その結果、マダガスカルは地球上の他の場所では見られないような特徴を持った動植物が数多く生息する自然の楽園になったのです。

しかし、そんなマダガスカルも大きな問題を抱えています。

マダガスカルでは国民の約79%が1日1.9ドル(今の日本円で約259円)以下で生活する、世界で最も貧しい国の一つです。

 

人口は、現在確認できているだけでも約2900万人。

そして、マダガスカル人のほとんどは農民です。

人口は年々増えており、常に新しい農地が必要とされるため、人々は森林を燃やすことで農地を手に入れます。

そうして焼畑農業・森林伐採などが進んだ結果、マダガスカルの森林面積はどんどん減り続け、もともとあった自然の90パーセントが失われてしまったと言われています。

もしこのまま自然が減り続けてしまったら、動植物たちの居場所がなくなってしまいます。

 

この問題を解決するため、マダガスカル島の至るところには自然保護区や国立公園がつくられ、野生動物を保護する活動が積極的に進められています。

国立公園は、観光地としても人気です。

もしマダガスカルに行く機会があったらぜひ行ってみてくださいね。

今回はそんなマダガスカルに棲む絶滅危惧種のカメレオンを2匹ご紹介します。

現在、世界中で発見されているカメレオンはおよそ200種類ですが、その半数近くがマダガスカルに生息していると言われていることから、マダガスカルは「カメレオンの楽園」、「カメレオンの聖地」とも呼ばれています。

 

カメレオンはペットとしての人気も高く、多くのカメレオンが現地で捕獲され、違法に取引されていることが大きな問題になっています。

個性を極めたカメレオンたち

まるで天狗のような特徴的な角を持つラボードカメレオンは、四足動物の中で一番寿命が短いと言われています。

卵がふ化してからその命を終えるまで、その一生はなんと4〜5ヶ月。

なんて短いんだ…。

 

ラボードカメレオンは、乾季と呼ばれる雨が降らない時期(約7〜9ヶ月間)の過ごし方が、他のカメレオンと違います。

多くのカメレオンにとって乾季は食べるものも少なく、暑さや乾燥などが生きるには厳しい環境であるため、眠って休む「夏眠」というものをします。

これに対しラボードカメレオンはずっと卵の中で過ごすのが特徴です。

 

そうして長い乾季が終わり、

11月頃の雨季(雨が降る時期)にふ化し、

3月頃に卵を産み、

4月頃に再び乾季になると死んでしまいます。

 

外の世界で生きている時間よりも卵の中にいる時間の方が長いというのも面白いですね。

このような生き方は、厳しい乾季をどうにかしのいで子孫を残すための彼らなりの生き抜く術なのかもしれません。

もう1匹、マダガスカルには驚きのカメレオンがいます。

その名も「ナノヒメカメレオン(ナナヒメカメレオン)」。

 

なんとこのカメレオン、発見されたオスの頭から胴までの長さがわずか13.5ミリメートル。尾まで含めると21.6ミリメートルです。

爪に乗ってしまうくらいの小ささです。

下の動画を見ながら、自分の爪でも想像してみてください。

↓2:04:50あたりから登場します。

ガイドの方の生き物への愛を感じますね。

ナノヒメカメレオンは世界最小の爬虫(はちゅう)類である可能性があり、絶滅の危険が高い近絶滅種(critically endangered)にまもなく指定されると予想されています。

マダガスカル島には個性あふれる生き物が多く棲んでいますが、未知の動物もまだまだいるのではないでしょうか。ナノヒメカメレオンより小さいカメレオンもいるかもしれませんね。

 

エコロジーオンラインは、マダガスカルの人々、自然、そしてこの島に生きる生き物たちを守るためにも、マダガスカルへの支援を継続していきます。

コピー・イラスト / kawe

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