普通の人の視点から始めるSDGs
私たちのような普通の人たちの暮らしは縦割りに存在するわけではありません。経済が落ち込むことで、家計の収入が減り、子どもの教育に回るはずのお金がなくなり、年金だけで暮らすのが困難になり、暮らしにゆとりがなくなり健康にも影響が出る。気候変動の影響で干ばつが続き、農業が成り立たなくなり、仕事を求めて都市に人が集中し、スラム化して犯罪や薬物汚染の温床になったりする。一つの問題を入り口にして様々な問題が連鎖していくのがSDGsの課題です。そうした問題に横串を刺さないと本当のゴールには至らない。SDGsは17のゴールが同時に解決されて初めて達成すると明確にしたことが重要な点だと言えると思います。
17のゴールが並んだSDGsに向き合うと日本人は一つ一つを丁寧に解決しようと思いがちです。その結果、ゴミ問題のような身近な課題の解決で終わってしまうのが日本人のSDGsです。大事な視点は一つの解決を誇るのではなく、それをどう他の問題とつないでいくかということが重要です。
専門家の視点だけでなく、暮らしを営む人々の素朴な視点が重要になります。これを解決しないといけないと力を入れるより、こんなことできないか、ココとコレがつながるんじゃないか、失敗を恐れずにチャレンジするのがベストです。
あなたはすでにSDGsに貢献している。
SDGsについてどう思いますか?と聞くと「何もやれてないんです」と答える方が多いように思います。でもこれは間違いです。あなたは日本政府のODAを通して多くのSDGs事業に関わっています。
2022年度の政府開発援助(ODA)の予算は日本円にして2兆2,968億円に達しています。これは開発援助委員会(DAC)加盟メンバー国のなかでアメリカ、ドイツに次ぐ3位の貢献額。この予算は開発途上国で道路や橋を建設したり、病院を整備したり、紛争地で難民支援をしたり、飢餓のある国での栄養改善をしたり、様々なSDGsのゴールの達成に役立てられています。同じように私たちの納めた税金は国内でも様々な事業に活用されています。地球温暖化を緩和したり、再生可能エネルギーを普及したり、生態系の保全を行ったり、生活が苦しい人たちに支援をしたり、子ども食堂をサポートしたり、政府の事業のほとんどがSDGsに関わると言っていいと思います。
そうした貢献の上に立ってちょっとしたことでいいから、自分が得意とすることでチャレンジする。そうすれば血の通ったSDGsになるはずです。
エコロジーオンラインでは、気候変動の緩和、マダガスカルでのクリーンエネルギーの導入や、国内での森づくり支援など、様々なSDGs事業を実践していますが、子どもたち向けのSDGsワークショップや、音楽を活用した高齢者のケアなど、ご家庭でも実践しやすいSDGs事業もご提案しています。2030年に向けて是非一緒に活動をしていきましょう。
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【普通の人のSDGs入門】共創・協働で生まれる豊かなSDGs社会
文 / エコロジーオンライン理事長 上岡裕
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日本でいち早く地球環境問題への取り組みを始め、音楽や森を活用した認知症予防など、多岐にわたった活動を続けるNPO法人エコロジーオンライン理事長の上岡裕が、初めてその人生を語る。