1980年にリリースされたFreedom of ChoiceはDEVOにとって重要な転換点となった。
政治的なポストパンクにポップ感覚を絶妙に加えたこのアルバムは大ヒットとなり、DEVOは一つ先のステップへと足を進めることとなる。
これまでも彼らの歌詞は皮肉の色が強かったが、今作においてはポップな曲調とのバランスを取ろうとしたのか、よりクリアな表現が多くなっている。
Planet Earthはアルバムの最後に収録されているが、直前までの曲とは違い、深刻な曲調で諦観しているかのような歌詞をリーダーのマークが若干声色を低くして歌っている。
これが同じアルバムで「選択」の重要さを説いたバンドだろうか。
「喜びが痛みを伴う場所」と歌い始め、「ここが君の人生を生きる場所だ」と冷たく突き放す。
「人間は何も変わらないが、それでも生きていくしかない」というメッセージ。
そこにはもはや笑いなど無い。
彼らの掲げる退化論は、享楽的なお遊びではなく、現実に即したヒリつくような嘆きだった。
文 / 上岡 ケン