イチゴヤドクガエル / モウドクフキヤガエル / アカメアマガエル
今回は中央アメリカの熱帯雨林に住む、色鮮やかなカエルを3種類ご紹介します。
まずは1匹目。左の赤色のカエルが、
イチゴヤドクガエル(Strawberry poison-dart frog)です。
その名の通り毒があり、イチゴのような派手な警告色を持っています。
なぜこんな派手な見た目をしているかというと、
あえて外敵に目立ちやすい体の色や模様を持つことで、" 手を出すと危険だぞ ” と警告し、自身の安全を確保しているからだと考えられています。
この警告色というものは、私たち人間の社会でも使われています。
信号機や看板、天気予報などで赤や黄色を見ると反射的に「危険だ」と感じることがあると思います。テントウムシなんかも警告色を持っている虫です。
ちなみに、手足にジーンズを履いているかのような色をしているため、ブルージーンズと呼ばれることもあります。お洒落ですね。
親ガエルは、卵からふ化した幼生(オタマジャクシ)を、安全な水場まで背中に乗せて運びます。
↓ 1:17の姿がなんとも愛らしいです。
そして、オタマジャクシが成長するまで、親ガエル自らが産んだ無精卵を食べ物として与える「エッグフィーダー」という変わった繁殖形態を持ちます。
↓ 2:57〜 卵を与えている様子が見られます
2匹目。
右の黄色いカエルが
モウドクフキヤガエル(Golden poison frog)です。
コロンビアの太平洋岸に広がる熱帯雨林のごく一部に生息していますが、熱帯雨林が減少していることにより、絶滅が危惧されています。
イチゴヤドクガエルと同様に警告色を持ち、モウドクフキヤガエルは世界で最も毒性の強い動物のうちの1つと考えられています。
体長5センチほどの個体1匹で、なんと約15人もの人間を死に至らしめるのに十分な毒を持っています。万が一野生で見つけても、絶対に触ってはダメですよ!
コロンビアの先住民は何世紀もの間、その強力な毒を吹き矢の先に塗って狩りに利用していました。それがこのカエルの名前の由来となっているようです。
イチゴヤドクガエルやモウドクフキヤガエルが属するヤドクガエル科の多くは、毒を大量に持っています。
しかし、この猛毒はカエル自身が体内で作っているものではなく、毒を持つ昆虫などを食べることによって体内に毒を蓄えているものと考えられています。
人工飼育下で繁殖し、本来の生息地に住む昆虫を食べずに育てた個体は、毒を持たないようです。
↓こんな風に餌を与えられている個体は毒を持っていませんのでご安心を!
最後、3匹目。
後ろで跳ねている緑色の2匹が
アカメアマガエル(Red-eyed tree frog)です。
学名は「Agalychnis callidryas」。
callidryasは「美しい木の妖精」という意味です。素敵な名前ですね。
毒はなく、赤い目とオレンジ色の手足を持っています。
その印象的な姿から、世界で最も有名なカエルとも言われているとか。
夜行性で、昼間は葉に留まって休んだり寝たりしています。
休む時には、目を閉じ手足をたたみ込んで、ぺたーっとうつ伏せになり体表面積を減らすことで乾燥を防ぎます。
↓ 2:20くらいから「ぺたーっ」としているところが見られます。
この時、眼や腹部、四肢の鮮やかな色彩が見えず、背面の緑色が見えるため、葉と区別しづらくなります。
アカメアマガエルがこの特徴的な真っ赤な目を持つようになった理由は、ほんの一瞬でも敵にショックを与えて食べるのをためらわせるためだ、というのが専門家の間での通説らしいです。
鮮やかな四肢と体側のまだら模様も同じく、敵に襲われたときにジャンプをすることで驚かせ、その隙に逃げるためにあると考えられています。
瞼は透明で金色の網目模様が入っています。
↓ こんな風に。綺麗ですね〜。
イラスト・コピー / kawe