8月10日、有機農業が盛んな埼玉県小川町を事務局の大和田、青木で訪れました。食品残渣を活用した液体肥料(液肥)とバイオガスを生成するプラントの見学です。
ご案内頂いたのは、平成14年から活動をするNPO法人小川町風土活用センター(NPOふうど)の桜井さんです。
こちらのプラントは現在、学校給食センターの食品残渣により、液肥の抽出とバイオマス発電の売電を行っています。液肥は20~30軒近くの有機農家に販売。農業と地域のエネルギーが連携した取組です。
小川町の環境基本計画が発端、APバンクの第一期案件
このプロジェクトは平成11年度に環境基本計画策定の取り組みの一つ「ごみの減量・循環型社会」のテーマのもとで始まりました。一般公募による町民協議会委員とNPOふうどが協力。平成13年にプラントを完成させ、16年間運営してきました。
このプラントは、ap bank第一期の案件として支援を受けています。ap bankは、音楽プロデューサーの小林武史さん、Mr.Childrenの櫻井和寿さん、坂本龍一さんなどが資金を拠出。自然エネルギーの取り組みや環境保全など、新しい未来作りのプロジェクトに融資を行う団体です。
建物や設備はすべて手作り。残渣を発酵して分解する微生物の働きを活性させるために加温ボイラーを設置し、残渣を細かくするために粗粉砕機を設置するなど、生成効率を高める工夫がなされてきました。
地域循環の模索
当初、集合住宅を中心とした一般家庭からの生ゴミを提供してもらい、提供してくれた家庭に「生ごみクーポン券」を配布。生ごみから作られた液肥を使って作られた野菜と交換するという流れを実施していました。
しかし、集荷の作業や資金調達等の課題が発生。現在は休止中となっています。そのかわり、学校給食センターからやってくるポリタンク2~4個分の食品残渣でプラントを稼働していました。
そうした過程を通して地域の有機農家へ液肥を販売(1トンで2000円)するネットワークができ、地域の農家やお年寄りを中心に、自分たちで家庭の生ゴミ回収を再開する動きも始まっています。
バイオマス発電においては、企業からの支援を受け、ホンダ製のコージェネ(熱源より電力と熱を生産し供給するシステムの総称)機器を導入した、売電事業を行っています。コージェネから出る熱も発酵をサポートするために利用するシステムの実現に向けて活動しているそうです。
施設の増設と全国への展開を目指して
小川町では当初、町内に同施設を8箇所設置するのを目標にしていました。
しかしながら、バイオマスプラントを継続的に運営していくための人の確保や資金繰りが厳しく、目標が達成できていないのが現状だそうです。
しかし、全国から見学者が訪れ、このプラントと同じものを九州地方に設置した事例も出てきています。このプラントは周辺への匂いの影響も少ないため、都市部や我が佐野市でも設置が可能ではないかと思いました。
他の地域や海外での活動も
今回、案内いただいた桜井さんは、同じ町内で活動する国際協力NPOソーラーネットの一員。小川町だけではなく、愛知県豊橋市で親子で参加できる太陽光発電の啓発事業や、アフリカ中央部のチャド共和国の難民に対して太陽光発電キットのワークショップを開催した支援活動などを行っています。今後、里山エネルギー、ソーラーシティ・ジャパンとの連携した事業も模索できそうでした。
この施設はこれからもパワーアップをしていくとのこと。今後の活動も楽しみです。
エコロジーオンライン事務局 大和田・青木
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