羽田からおよそ30時間。
マダガスカルの首都アンタナナリボに着いたのが6月16日の深夜。17日夜にアンチラベに入り、翌日、アンチラベにある2校の農業関連専門学校を訪問しました。
19日は捨てられたモミガラ、オガクズをリサイクルしてつくるエコ燃料の製造で連携するバジルさんをソアヴィナンディアに訪ねます。車窓には日本の原風景に近い光景が広がっていました。
マダガスカルの里山エネルギー伝道師バジルさんを訪問
お会いしたバジルさんは元々、マダガスカル国軍の兵士でした。故郷を離れて34年。除隊して戻った故郷の山は見る影もなく、その多くがハゲ山になっていました。そんな故郷の厳しい現状に心を痛めたバジルさんは環境を破壊しない自然エネルギーの研究に没頭します。私たちがうかがったご自宅はまさに研究室。様々なエネルギー機器が並んでいました。
エコロジーオンラインの里山エネルギープロジェクトがターゲットにするのは、オガクズ、モミガラ、家畜の糞尿のような捨てられたバイオマス資源と、どこででも手に入る太陽熱の活用です。
今回私たちは、太陽熱をつかい、果物や肉などを長期貯蔵に向くように乾燥させるソーラードライヤーを日本から持ち込みました。実際にバジルさんにお見せしたところ、自分もつくっているということで大型のソーラードライヤーの試作機を見せてくれました。
エコロジーオンラインの大和田事務局長の大学院での専攻は太陽熱であったことから、その有効性について確認し、ソーラードライヤーについても意見交換をしながら、マダガスカルに向くタイプの開発を手がけることになりました。
バジルさんとの連携の軸はマダガスカルで里山エネルギーを担う人材を一緒に育てること。太陽熱を活用するソーラークッカーやソーラードライヤーとともに、彼が自作するエコ燃料の製造機も活用し、捨てられたモミガラ、オガクズを炭化して、燃料に変えることも各地で教え、小さな雇用づくりにチャレンジします。
バジルさんは生ゴミ処理の研究も熱心。カナダから輸入したミミズを活用して、家庭から出る生ごみなどを堆肥化します。その堆肥を活用してくれるオーガニック農家たちとネットワークもつくっています。
バイオガスの取り組みは家畜の糞尿だけでなく、生ごみの処理にも活用できるため、バイオガスでの連携に深い興味を持っていただきました。
彼はすでに近隣の7つの小学校と連携しているとのこと。そこにバイオガスの紹介をしてみようとご提案をいただきました。牛を飼っている家庭が多いことから、毎朝、子どもたちに家から糞尿を持ってこさせ、バイオガスをつくるのはどうだろうという彼のアイデアもおもしろそう。
バイオガスから出る残留物もミミズのエサとしてしっかりと堆肥化し、オーガニック農業を広げることに活用することも応援したくなりました。現地小学校の状況を確認しながら、バイオガス施設の設置に向けて連携していこうと思います。また、彼が連携するオーガニック農家は、マダガスカル全域に広がっているとのこと。そのネットワークも活用し、里山エネルギーに関わる人材を育成していこうと思います。
里山エネルギープロジェクト事務局
エコロジーオンラインの里山エネルギープロジェクト / Project Satoyama Energyでは、この活動を通して森を破壊しない「里山エネルギー」を広げるリーダーを育てていきます。彼らを中心に途上国において薪や炭を大量に消費する従来のエネルギースタイルからの脱却を促し、循環型エネルギーの有効性を広め、地域社会に森の再生を呼びかけていきます。