今回のマダガスカル訪問の主な目標は里山エネルギーを学んでもらうワークショップを実施することでした。
里山エネルギースクールとして活動するサカイ市ロバソア小学校で実施したワークショップは18日に無事に終了し、新聞、テレビでもとりあげてもらうことができました。
その後の日程は、里山エネルギープロジェクトをさらに広げるための、現地団体とのパートナーシップの構築や調査にあてられました。
19、20日はアンタナナリボでの意見交換。里山エネルギーの活動を現地で広げるために設立したNGOマダガスカル・みらいのディレクター、シルビアンさんとの打ち合わせからのスタートです。
マダガスカル・みらいは、エコロジーオンラインのマダガスカル事務局の代表を務めている浅川日出男さんが経営するマダガスカルサービスに勤める現地スタッフがつくったNGO。マダガスカル政府からもNGOとしての活動を認められた団体です。
エコロジーオンラインとどのように役割を分担するかについての意見交換をし、20日に予定されている日本大使館の小笠原大使との打ち合わせに向けた資料づくりをお願いしてこの日の会議は終了しました。
夕食時にはバイオガスの活動で同行しているスッチョン教授がタイ領事に呼びかけ、今後の連携の打ち合わせを行うことに。日本、タイ、マダガスカルをバイオガスでつなぐ構想ついてお話をし、具体的な内容が決まったら、同国政府にもレターを送ってくれることになりました。
翌日は、エコロジーオンライン上岡理事長、浅川日出男エコロジーオンライン・マダガスカル代表、マダガスカル・みらいのディレクターのシルビアンさん、テクニカルディレクターのヘルダマンさんと日本大使館を訪問。すでに新聞、テレビで報道されていたこともあり、小笠原大使からも好評価をいただき、タイとのパートナーシップでバイオガス事業を進めることにご理解をいただきました。
アンタナナリボで活動の基盤づくりを終え、バオバブの巨木で有名な西部の都市モロンダバに向かいました。
アンタナナリボからモロンダバには1日では辿り着けません。そこで南部の都市のアンチラベまで向かいます。マダガスカルは鉄道が機能していないため、全行程が四駆での移動。往復1300キロを超える移動距離です。
モロンダバでの調査はこの地域でのバイオガスの可能性と、樹齢千年を超えるバオバブに起きている自然死について取材をすることでした。
この地域のバオバブは、「アップサイドダウンツリー」とも呼ばれ、まるで上下逆さまになったような独特の姿形で知られます。バオバブを見るためにこの地を訪れる観光客も多ことから、バオバブに起きている被害は現地の旅行産業にとって大きな痛手となります。
マダガスカル・みらいのテクニカルディレクターを務めるヘルダマンさんは森づくりの専門家。自然死する個体が増えているバオバブについて、はっきりと何が原因なのかはわかっていませんが、彼の意見によれば、農民によって森が破壊され、バオバブだけが残されたことが原因のよう。
マダガスカルの土地制度はとてもユニーク。自分たちの手で開墾をすればその土地は自分のものになります。地域住民たちは自分たちの水田をつくるため、森を切り倒し続けました。
そんななかで住民が活用する術を持たないバオバブの巨木が残されました。熱に強いバオバブは森林火災なども生き抜いています。
バオバブは根が浅く、強風に弱い樹種。バオバブを守ってくれる子どもたちが切り倒され、バオバブが強風にさらされることが多くなり、倒れるバオバブが増えたのだといいます。
先日、隣国のモザンビークが襲われたように、この地のサイクロンも地球温暖化によって巨大化しています。森を失ったバオバブに気候変動が追い討ちをかけるような状態になっているのです。
里山エネルギープロジェクト事務局
エコロジーオンラインの里山エネルギープロジェクト / Project Satoyama Energyでは、この活動を通して森を破壊しない「里山エネルギー」を広げるリーダーを育てていきます。彼らを中心に途上国において薪や炭を大量に消費する従来のエネルギースタイルからの脱却を促し、循環型エネルギーの有効性を広め、地域社会に森の再生を呼びかけていきます。