フランスの1年はフォラグラ、スモークサーモン、生牡蠣で始まる。
だが、その伝統も風前の灯だ。気候変動によって牡蠣の生産に大きな影響が出ているのだ。
フランスでは地球温暖化のおかげで、夏の乾燥が厳しくなり、冬は暖かくなった。牡蠣の生産にとって必要不可欠な“四季”が失われつつある。
夏に多く雨が降ると山からミネラル分が海に流れ出し、牡蠣のエサとなるプランクトンを育てる。雨が降らなければ、エサとなるプランクトンが育たない。その結果、大きな牡蠣は育たない。
冬になると牡蠣はカラダを休めて成長に備える。暖かくて雨が多い冬にはプランクトンが大量に発生する。プランクトンを食べることに牡蠣はエネルギーを使い果たし、死んでしまう個体も多くなる。また、温かい海はヘルペスウイルスのような病原菌の蔓延をもたらし、稚貝の大量死にもつながっている。
地球温暖化によって牡蠣の生育に適する海域は北にずれていくだろう。牡蠣の生産で賑わってきた地域にとっては大きな経済的な損失だ。
今年になってアメリカの漁業に大きな変化が訪れていることも伝えられている。気候変動への「適応」の仕方を誤ると大きなしっぺ返しをくらう。自然の生命に国境はない。何が起こるかわからない気候変動の時代にあっては、国際的な協調こそ不可欠なのだ。
<参照リンク>
Climate Change Takes Toll On French Oyster Farmers
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部
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