地球温暖化の進行によって起こることを正確に予想することは難しい。
アメリカを襲っている大寒波も北極海の温暖化が大きな影響を与えていると考える研究者もいる。
温暖化なのになぜアメリカは凍えるのか?
それでも北極・南極は研究の対象となるからまだましだ。
それにくらべて第三の極と言われる「ヒンドゥークシュ」の研究は進まない。この地域の氷河が融けると人類の4分の1に影響が及ぶというのにだ。
西はアフガニスタンから東はミャンマーに広がるヒマラヤ・ヒンドゥークシュ。この地域にある氷河は、南極、グリーンランドについて3番目に豊富で、インダス川、ガンジス川、黄河、長江などの河川の源流であり、20億の人々の水源地でもある。
このたび発表された研究によれば、地球温暖化防止の取り組みが進み、気温の上昇が1.5℃に抑えられたとしても、この地域の氷河の3分の1が2100年までに融けてしまう。
また、現在のまま地球温暖化が進むと氷河の3分の2は溶けだし、この地域の河川を不安定なものに変えてしまう。氷河湖が決壊して収穫を前にした農地を襲う。モンスーンの時期にはさらなる洪水をもたらし、モンスーン前の乾燥した気候は農地の灌漑と水力発電に大きな影響を与えることになるだろう。
下流に位置するインドやパキスタンなどでは50℃を越える日が続き、多くの人の命が失われる。その影響をまともに受けるのは女性たちだ。男性は仕事を求めて出稼ぎに行くのに対し、女性は家に残ることが多い。ジェンダーの問題を意識した政策をとらない限り、この地域の気候変動への適応は成功しない。被害の矢面の立つのは残される側の人間なのだ。
大きな被害をもたらす可能性が高いヒンドゥークシュ地域をテーマにした研究が増え、地球温暖化対策への投資が増えることを期待するとこのレポートは訴える。気候変動によって水や食料が枯渇してくると地域紛争が起こる可能性も否定できない。しっかりとした対応が望まれる。
<参照リンク>
The Hindu Kush Himalaya
Assessment
These melting glaciers will have consequences for nearly a quarter of humanity
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部
www.eco-online.org Blog Feed
気候変動の法的責任を問う 国際司法裁判所が公聴会を開始 (火, 17 12月 2024)>> 続きを読む
ヨーロッパ氷河の急激な融解は、地球に何をもたらすか? (Thu, 28 Nov 2024)
>> 続きを読む
未来のチョコレートはカカオなし?持続可能な代替食品への挑戦 (Thu, 24 Oct 2024)
>> 続きを読む
気候変動によりアフリカ全土で進む移住 感染症が拡大する恐れも (Fri, 04 Oct 2024)
>> 続きを読む
2050年までに50の世界遺産が消える!?気候変動が奪う人類の宝 (Mon, 30 Sep 2024)
>> 続きを読む
永久凍土から有害金属が放出される?! 北極に眠る「水銀爆弾」の脅威 (Fri, 27 Sep 2024)
>> 続きを読む
「自然保護区増加」と「気候変動緩和」の両立が必須 東京大学が発表 (Mon, 09 Sep 2024)
>> 続きを読む
災害に弱い動物を守る。求められる管理対策と理解 (Thu, 05 Sep 2024)
>> 続きを読む
「ノアの方舟」、動物のDNAを乗せ月へ 絶滅危惧種を守る画期的な計画 (Thu, 29 Aug 2024)
>> 続きを読む
気候危機の映画はレア?!政治的メッセージへの反発が関係か (Tue, 27 Aug 2024)
>> 続きを読む