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北極・南極に続く第三の極「ヒンドゥークシュ」に忍び寄る危機

Matt Saunders / CC BY-NC 2.0
Matt Saunders / CC BY-NC 2.0

地球温暖化の進行によって起こることを正確に予想することは難しい。

アメリカを襲っている大寒波も北極海の温暖化が大きな影響を与えていると考える研究者もいる。
温暖化なのになぜアメリカは凍えるのか?

それでも北極・南極は研究の対象となるからまだましだ。

それにくらべて第三の極と言われる「ヒンドゥークシュ」の研究は進まない。この地域の氷河が融けると人類の4分の1に影響が及ぶというのにだ。

西はアフガニスタンから東はミャンマーに広がるヒマラヤ・ヒンドゥークシュ。この地域にある氷河は、南極、グリーンランドについて3番目に豊富で、インダス川、ガンジス川、黄河、長江などの河川の源流であり、20億の人々の水源地でもある。

このたび発表された研究によれば、地球温暖化防止の取り組みが進み、気温の上昇が1.5℃に抑えられたとしても、この地域の氷河の3分の1が2100年までに融けてしまう。

また、現在のまま地球温暖化が進むと氷河の3分の2は溶けだし、この地域の河川を不安定なものに変えてしまう。氷河湖が決壊して収穫を前にした農地を襲う。モンスーンの時期にはさらなる洪水をもたらし、モンスーン前の乾燥した気候は農地の灌漑と水力発電に大きな影響を与えることになるだろう。

下流に位置するインドやパキスタンなどでは50℃を越える日が続き、多くの人の命が失われる。その影響をまともに受けるのは女性たちだ。男性は仕事を求めて出稼ぎに行くのに対し、女性は家に残ることが多い。ジェンダーの問題を意識した政策をとらない限り、この地域の気候変動への適応は成功しない。被害の矢面の立つのは残される側の人間なのだ。

大きな被害をもたらす可能性が高いヒンドゥークシュ地域をテーマにした研究が増え、地球温暖化対策への投資が増えることを期待するとこのレポートは訴える。気候変動によって水や食料が枯渇してくると地域紛争が起こる可能性も否定できない。しっかりとした対応が望まれる。

<参照リンク>
The Hindu Kush Himalaya Assessment
These melting glaciers will have consequences for nearly a quarter of humanity

翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部

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