象牙を狙った密猟が後を絶たないアフリカゾウ。
南アフリカでも、移住者による狩猟と生息地が農地に奪われることで、多くのアフリカゾウの命が奪われてきた。
アフリカの南端クニズナ地方には、アフリカゾウの一種クニズナゾウが生息している。数千頭はいたと言われる彼らだが、1950年代には10頭を切り、最近ではハンターから逃れる術を身につけた彼らの生存数を正確に把握することが難しくなっていた。
今回、南アフリカ国立公園とネルソンマンデラ大学などの協力で行われた調査によって、クニズナゾウの生存数が把握できたという。残されていたのは45歳の雌のゾウ、たった一頭だった。
1年3か月にわたったこの調査では、南アフリカ国立公園を中心にした自然林や灌木地にカメラを仕込み、クニズナゾウの姿を追いかけた。
移動ルートに変化の少ないアフリカゾウの習性を生かしてカメラの死角がないように配置。そのカメラに映ったのが140のアフリカゾウの映像。同じ雌のゾウが一頭で移動する姿だった。
アフリカゾウは群れをつくって生活する。ここ数年で出産した様子もないことから、残されたのがこの一頭だと推察されている。
過去、保全の取り組みとして他地域のアフリカゾウを導入したこともあるが、クニズナの自然環境に順応できずに失敗に終わっている。
雌のアフリカゾウは65歳を越えて生きるものが多い。
彼女はこれから20年、絶滅を目前にしたクニズナゾウとして、さびしく生き続けなければならないのだ。
<参照リンク>
Research confirms female elephant in the Knysna
forest
African Journal of Wildlife Research - And Then There Was One
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部
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