現在、私たちが直面する気候危機にしっかりとした対策が施されなければ、近い将来、生態系が崩壊し、多くの野生生物が死んでいく。
この10年のうちに失われる種もある。そんなショッキングな研究がネイチャー誌に発表された。
これまでの研究では地球温暖化による生態系への影響は徐々に訪れると考えられてきた。
だが、生態系の崩壊はずっと崖っぷちのような状態が続き、突然、その日がやってくるというのだ。
この研究が発表されたのはネイチャー誌だ。
これまでの研究の多くが、特定の年を対象にしたのに対して、鳥類、哺乳類、爬虫類、両生類、魚類とその他の海洋生物や植物の30,000種を、100km×100kmの単位でマッピングし、蓄積された1850年から2005年の気象データをもとに未来のいつの時点で経験したことのない高温に遭遇するかを調べた。
今のまま温暖化が進めば、2030年までに熱帯の海にすむ生物から高温の被害が始まり、2050年にかけて北上。2050年までに高緯度の地方でも生じるという。
赤道域の動植物はすでに高温状態にさらされており、一つの種が死滅することによって、食物連鎖に変化が生じ、急激に生態系が崩壊していく。そこに追い打ちをかけるのが、海水の酸性化やプラスチックごみなどの問題だ。
だが、希望も捨ててはいけない。パリ協定に決められた気温変化を2度未満にする取り組みが行われば、そのスピードを遅くすることができる。そうすれば生態系の崩壊に対応する時間も稼げる。
私たち人類は新型コロナで生態系の破壊から生じる人獣共通感染症の恐怖を目の当たりにした。
さらなる災厄を防ぐためにも、国際的な協力体制をつくってこの危機に対処し、速やかに気候変動による生態系の破壊を防止することにチャレンジしなければならない。
世界の研究者たちはそう警告する。
<参照リンク>
The projected timing of abrupt ecological disruption from
climate change
Unchecked Global Warming Could Collapse Whole Ecosystems, Maybe Within 10
Years
Wildlife destruction 'not a slippery slope but a series of cliff
edges'
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部
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