8月29日、気候変動をテーマにした学術誌「nature climate change」に「Greenland ice sheet climate disequilibrium and committed sea-level rise」という論文が掲載された。
北極や南極、赤道地方に大きな変化をもたらすと言われる地球温暖化だが、すでに起きている温度変化によってグリーンランドの氷を今のまま保つことができないことがわかった。今すぐにすべてのCO2排出を止めたとしても海面上昇は27.4cmとなり、2012年のような高温が続くとするとその3倍の上昇につながると報告している。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測したグリーンランドの氷の融解による2,100年までの海面上昇は10cm~15cm。今回の調査で重視したのは、気候変動で雨が多く降るようになり、グリーンランドの氷の表面がとけ、氷河の移動が激しくなったことと、鉱物ダストやブラックカーボン粒子、微生物細胞の繁殖などによってグリーンランドの氷が太陽の光を吸収しやすくなり、より多くの氷が溶けだしていることだった。
IPCCの予測は洗練された数学モデルをベースとするが、今回の調査の中心を担ったのは現場で活動する氷河学者たち危機意識だった。
今我々は誰も体験したことのない気候危機の真っただ中にいる。現場の変化をどうとらえ、気候変動対策にフィードバックしていくかだろう。そのためには政治と科学がもっと近づく必要がある。もう遊んでいる時間はなさそうだ。
翻訳・文 / エコロジーオンライン編集部