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『YOIHI PROJECT 』 始動! 第一弾作品は“超循環社会”江戸を描いた青春群像「せかいのおきく」

『せかいのおきく』©2023 FANTASIA
『せかいのおきく』©2023 FANTASIA

100年後の地球に残したい「良い日」を「映画」で伝える

自然環境を考える際にどうしても置き忘れてしまいがちなのが私たち“人間”の存在だ。

「このままでは地球が危ない!」

地球環境保護に関わる我々はこんな表現を使いがちなのだが、正確には私たち人間の生存が危ういのであって、地球はなくなることもないし、宇宙的な時間をかけて再生もしていくだろう。

不幸なのは人間と同時代に生きた動植物たちだ。人間の飽くことなき欲望に振り回されて多くの命が失われる。まったく迷惑な話だ。

人間はいつの頃からこんな風に自然からかけ離れた存在になってしまったのか。

産業革命前の人間は、自然や動植物たちとひとつらなりの「環(わ)」をつくって、様々な作業を行なっていた。化石燃料の発見でそうした「環(わ)」が失われ、地球から消えて行く仲間たちを振り返ることもしなくなった。そのしっぺがえしが気候変動危機だと言えるだろう。


新型コロナ感染症も同じだ。自然のコウモリが持っていたウイルスが変異して生まれたと言われるCOVID‑19だが、自然が破壊されたことが大きな原因の一つだと言われている。

【新型コロナウイルス】地球環境破壊が生み出す人獣共通感染症の恐怖

 

そうした根本原因を正そうとはせず、科学の力でウイルスを退治して満足しようとする。結局はまたどこかで新しいウイルスが生まれ、イタチごっこが繰り返されていく。


なんとか自然との協働をベースにした文明に再帰することはできないだろうか。そう思って立ち上げたのがエコロジーオンラインだった。

そうして23年の月日が経ってみると、かっこ良いとは思えない活動が増えていく。そうした活動に酔ってしまって自分たちの世界に閉じこもりがちになる。マダガスカルの支援活動に牛のうんちがマダガスカルを救う!」なんてタイトルをつけて悦に入って満足してしまう。


だが、しっかりと多くの人の目にふれる表現でなければ社会は変わらない。

映画美術監督として数々の賞を受賞してきた原田満生が代表になって立ち上げた『YOIHI PROJECT 』は、100年後の地球に残したい「良い日」を「映画」で伝えていくという。

このプロジェクトを支えるのは、脱炭素や循環型社会づくりを手がけてきた藤島義之、五十嵐圭日子らのアカデミーの先駆者たちだ。しっかりとしたエヴィデンスに裏打ちされた環境映像プロジェクトの誕生と言えるだろう。


『YOIHI PROJECT 』が目指すのは「バイオエコノミー、サーキュラーエコノミー、サステナブル、SDGs、などの様々な環境問題に触れながら、人間を描いた映画を創ること。その映画やプロジェクトが起点となって、環境問題に興味をもってもらい 、考える時間が生まれることを目指します 。私たちの映画を通じて、メッセージや宝物を次世代に伝えていく。それを受けたひとりひとりが、自発的に知識を育み、さらなる次世代へ継承するような土壌を創っていく」

こう原田は語る。


その最初の作品が「せかいのおきく」だ。

 

没落した武家の娘と、糞尿の処理に携わる賤民たちを主人公に、その青春を、軽妙に描きたい

『せかいのおきく』©2023 FANTASIA
『せかいのおきく』©2023 FANTASIA

この作品のメガホンをとった阪本順治監督は、数々の有名作品を世に送り出してきた。

自分への自戒でもあるという本作品を阪本監督はこう表現する。

「〝 汚い 〟ところから社会を観る、そんな試みだ。はるか以前の日本における食のサイクルを基軸として、没落した武家の娘と、糞尿の処理に携わる賤民たちを主人公に、その青春を、軽妙に描きたいと想った。その軽妙さこそが、庶民のたくましさであり、本音でもあり、自尊心を誰にも奪われてなるまいとする彼らの抵抗だ。そして、現代社会への痛烈な皮肉だ」

 

江戸時代は超循環型社会であった。

徳川幕府がとった鎖国政策によって海外から資源が入らない。そのため、ゴミというゴミが徹底的に回収され再資源化されていた。

いま世界が目指している「サーキュラーエコノミー」はすでに江戸時代に存在していたわけだ。


なかでもこの映画の題材となった人糞の循環はすごかった。

大名屋敷の糞尿は高く買いとられ、貧乏長屋の糞尿は栄養が少ないので安かった。その糞尿が堆肥となって江戸に暮らす人々の胃袋を満たす農作物を生みだした。

”ウンチが地球を救う” は、世界に誇る日本の技術です。

なんとこの映画は、そんな江戸の底辺を担った若者たちを題材に当時の青春を描くという。

黒木華、寛一郎、池松壮亮ら、今をときめくスターを配し、このテーマを撮ったことはかなりすごいことだ。いったいどんな作品になっているのか。社会の反応はどうだろう。その化学反応が楽しみでならない。


それぞれの時代、自然の環のなかで生きた人間の『YOIHI』を作品に昇華させ未来に送り届ける。

「せかいのおきく」以降も様々な企画が予定されている。

自然の「環(わ)」のなかにある人間を描いた環境映像作品がたくさん生まれることを期待したい。


100年後の地球に残したい「良い日」を「映画」で伝える新映画プロジェクト『YOIHI PROJECT』 始動!


エコロジーオンライン理事長 / 上岡 裕

『せかいのおきく』©2023 FANTASIA
『せかいのおきく』©2023 FANTASIA

『せかいのおきく』

脚本・監督:阪本順治

出演:黒木華、寛一郎、池松壮亮ほか

配給:東京テアトル/リトルモア/U-NEXT

2023年4月28日全国公開

映画公式サイト URL: sekainookiku.jp

公式 Twitter アカウント: @okiku_movie

『YOIHI PROJECT 』公式サイト

https://yoihi project.com/

Twitter:@yoihi_project

Instagram:https://www.instagram.com/yoihi_project/

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